低濃度アトロピン 0.025% 点眼薬について

本製品は Atropine (アトロピン) 0.025%配合のお子様の近視進行を抑制するための目薬です。

低濃度アトロピン0.025%点眼薬は、小児期の近視の進行を軽減させることを目的に、Singapore National Eye Centre(SNEC:シンガポール国立眼科センター)の研究に基づいて開発・製造されています。

 

低濃度アトロピン 0.025%点眼薬の特徴

  • 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。
  • 目の遠近調節機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えません。よって近見視力の低下にあまり影響を与えず、近用の眼鏡も不要と言われております。
  • 毎日必ず就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法になります。
  • 各容器(1本・5ml)は両眼用に1 ヶ月間の使い切りになっております。
  • 本製品はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。
  • 当院では0.01%より効果が高い0.025%マイオピンを採用しております。

◆近視の進行が完全に止まるわけではありませんが、少なくとも2年間継続して使用することで何もしない方と比べ近視の進行を軽減できたという報告を基にしています。

 

 

近視の進行を抑制することが大切な理由


子どもの近視は、主に眼球が楕円形 に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。

近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。
そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。

 

 

低濃度アトロピン0.01%点眼薬が選ばれる理由とは?


低濃度アトロピン0.01%点眼薬は、近視の進行を遅らせる(眼軸長の進展を抑制する)という点で統計的にも臨床的にも有意義な効果が確認されている治療法の一つです。

■重篤な副作用の報告はありません。
*この薬の本来の作用により、一時的に瞳孔(黒目)が大きくなりまぶしく感じますが、数時間で元に戻りますのでご心配ありません。

■近視の進行を平均約60%軽減させる良好な点眼薬と言われております。

低濃度アトロピン0.01点眼薬は、最適な超低濃度(0.01%)のアトロピンを点眼することにより、近視の進行スピードを効果的に抑えると同時にアトロピン1%点眼薬のような不快な副作用を回避します。

※当院ではより効果の高い0.025%マイオピンを採用しております。

 

低濃度アトロピン0.01%点眼薬は安全ですか?


下記の報告はシンガポール国立眼科センター(SNEC)にて、アトロピン0.01%点眼を2年間継続した研究結果です。

  1. アレルギー性結膜炎及び皮膚炎の報告はありませんでした。
  2. 眼圧(IOP: Intraocular eye pressure)に影響を与えないとの報告でした。
  3. 白内障を形成するとの報告はありませんでした。
  4. 点眼終了後も目の遠近調節機能の低下、また瞳孔がひらき続けてしまうという報告はありませんでした。
  5. 電気生理学上、網膜機能に影響を与えるという報告はありませんでした。

※0.025%マイオピンでも同等の安全性が確認されております。

 

費用


費用は自費診療(保険適応外)となります。

◆診療代(検査、診察代) 1,100円(税込)
初回は1ヶ月後に診察いたします。その後は3ヶ月ごとになります。
◆点眼薬 3,850円(税込)/ 1本
初回は1本のみ処方いたします。その後は問題なければ1度に3本まで処方が可能です。

*目薬は1ヶ月で1本をご使用いただきます。1ヶ月後に残っていても感染症などを防ぐために新しいものをご使用ください。
*患者さんのご都合で治療が中止になる場合、ご返金はできかねますのでご了承ください。医師の判断で中止する場合は個別に対応します。

【補足】

  • 今現在の近視を治すものではありません。近視の進行を抑える点眼です。
  • 対象年齢は基本的に6歳から12歳程度までですが、それ以上の年齢でも使用することもあります。
  • 2年以上の継続をお勧めします。
  • 点眼後6~8時間程度、瞳孔が開いて見づらくなる(眩しい、近くの文字が見づらいなど)ので、毎日就寝前に1滴点眼してください。
    瞳孔が開いている時間は個人差がありますので、最初は翌日に瞳孔が開いて見づらくてもあまり支障のない日の前日から始めてください。
*近視の進行抑制にはパソコンやスマホ、ゲームなど近業の時間を減らして、外遊びの時間を増やすことも効果があります。
点眼だけに頼らず、日頃からの生活習慣の改善をすることも大切です。
参考文献
 Chia A, Chua WH, Wen L, Fong A, Goon YY, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia: changes after stopping atropine 0.01%, 0.1% and 0.5%(小児近視治療用アトロピン について、アトロピン0.01%、0.1%、及び0.5%を点眼終了後の変化). Am J Ophthalmol. 2014 Feb(眼科:2014年2月); 157 (2) :451 ‒ 457. e1. doi: 10.1016/j.ajo.2013.09.020
Chia A, Chua WH, Cheung YB, Wong WL, Lingham A, Fong A, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (Atropine for the Treatment of Myopia 2() 小児近視治療用アトロピンについて、アトロピン0.5%、0.1%、及び0.01%を点眼した場合の安全性及び効能(進行度2の近視治療にアトロピンを使用した場合)). Ophthalmology. 2012 Feb(眼科:2012年2月); 119 (2) : 357 ‒ 54. doi: 10_1016/j.ophtha.2011.07.031.
Tong L, Huang XL, Koh AL, Zhang X, Tan DT, Chua WH, Atropine for the treatment of childhood myopia: effect on myopia progression after cessation of atropine(小児近視治療用アト ロピンについて、アトロピン点眼終了後の近視進行に対する効能). Ophthalmology. 2009 Mar(眼科:2009年3月); 116 (3) : 572 ‒ 9. doi : 10.1016/j.ophtha.2008.10.020 Epub 2009 Jan 22, Chua WH, Balakrishnan V, Chan YH, Tong L, Ling Y, Quah BL, Tan D. Atropine for the treatment of childhood myopia(小児近視治療用アトロピンについて), Ophthalmology. 2006 Dec
(眼科:2006年12月); 113 (12) 2285 ‒ 91. Epub 2006 Sep 25.