☆あなたの知らない世界〜 vol. 2 マイボーム腺が危ない!

〜目のふちはデリケートです!〜

マイボーム腺??何それ??と思われる方が多いと思います。
今回は、内皮細胞に引き続き「あなたの知らない世界」第2弾”マイボーム腺”について取り上げたいと思います。

 

このまつ毛の生え際の内側に、整列している小さな点のようなもの。
これがマイボーム腺の開口部です。肉眼では見えないくらいの小さな穴です。
皆様、普通は、こんな場所を意識したことが無いと思います。
でも、このマイボーム腺にはとても大事な機能があるのです。

 

”ドライアイ”とか”ものもらい”は聞いたことあるかと思いますが、マイボーム腺がうまく機能しないとこれらの病気の原因になります。

 

それはなぜでしょうか。

 

マイボーム腺は、油分を分泌し、涙の成分に油分を加え、油膜を作って涙の蒸発を防いでいます。ですので、この機能が落ちると涙が蒸発しやすくなり、ドライアイになります。

この腺の油分が詰まると、異物感や不快感の原因になります。黒目に傷がつくこともあります。
そして、さらにここが細菌に感染すると”ものもらい”の原因になります。
油分の分泌のしすぎも結膜炎などの不快な症状につながります。

それでは、マイボーム腺はどのような構造になっているのでしょうか。

上下のまぶたに数十個ある油分を出す分泌腺です。
なぜ、マイボーム腺がうまく機能しなくなるのか。
まずは、老化によるものや体質的なものがあげられます。
ですがドライアイ同様に、マイボーム腺の機能の異常も低年齢化しているように感じます。
やはり、生活習慣や食生活の変化が低年齢化に関係しているのではないでしょうか。
なかでも、日ごろの診療で感じるのは、若い女性にとても多いということです。
これには、女性のアイメイクが関係している可能性があります。
この図をみてもわかるように、マイボーム腺の開口部はまつ毛の生え際のすぐ近くにあります。
アイライナーやアイシャドウ、マスカラなどを目の際までつけていると、不潔になりマイボーム腺の機能が侵される原因になります。

 

時々、患者様でアイライナーを睫毛の生え際より内側、すなわちまさにマイボーム腺の開口部をきっちりふさぐように描いている方がいますが、顕微鏡で診察していると、ぞっとします。
また、最近流行の、まつ毛パーマやエクステンションの施術後に、結膜炎などのトラブルを起こして受診される患者様が増えています。恐らくパーマ液や接着剤が原因と思われますが、これらの液がマイボーム腺を知らない間に傷つけている可能性が非常に高いです。
すぐには症状が出ないとしても、これを繰り返すうちに、だんだんと機能が侵され数年後、あるいは数十年後にはひどいドライアイになったり、結膜炎、眼瞼炎(まぶたの炎症)など不快な症状を引き起こすかもしれません。

 

そのほか、コンタクトを長時間つけていたり、期限が過ぎている使い捨てコンタクトを使い続けていたり、手入れがきちんとできていないなどが原因でマイボーム腺が炎症を起こす場合もあります。

 

次に、マイボーム腺の日ごろのケアについて。
ポイントは、温めることと、清潔に保つこと。

 

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簡単な方法としては、シャワーを浴びるときに、眼を閉じて、まぶたの上からあてる(当然のことですが、眼の中に水が入らないよう気をつけてください。)、お風呂やサウナでゆっくりと体ごと温まるだけでも効果はあると思います。 また、やけどしない程度に電子レンジなどで温めた蒸しタオルなどをまぶたの上からあてて数分間休むのもよいです。

 

この際に軽くまぶたをマッサージするとよいです。(やりすぎないようにしてください。眼を傷めることがあります。)また薬局などで売られている専用のアイマスクなどを利用されるのもよいかと思います。
温まったところで、ベビーシャンプーを薄めて(清潔なお湯1/2カップに2,3滴)綿棒につけて、マイボーム腺の開口部を優しくふき取るようにするとよいです。ただし、これは眼を傷つける可能性もありますので、無理はしないようにしてください。清潔になったら、眼科で処方された、眼軟膏を塗るとなおよいです。

 

ただし、これらのことは、眼やまぶたに痛みや腫れなど炎症や異常があるときは絶対にしないでください。悪化する恐れがあります。まずは眼科に受診してください。

 

目そのものはもちろんですが、眼の周りも、皆様が思っているよりも非常にデリケートです。
とにかく、清潔に保つことを心がけてください。
後になって後悔することのないよう、この”マイボーム腺”を意識して、いたわりながらアイメイクを楽しんでいただけたら幸いです。
健康な眼こそ、美しいと思います。

院長 橋田節子