ドライアイのお話

目が乾きます!と訴えられて受診される患者様が本当にたくさんいらっしゃいます。

 

以前から多いと感じていましたが、最近ドライアイの方が更に増えているようです。乾くという自覚症状が無くても、目が疲れやすい、瞼がなんとなく重くて開け難いなどの症状でいらした患者様も、実はドライアイが原因だったということも珍しくありません。

 

つい先日も、ある患者様が

 

「瞼が下がって見え難く、生活に支障もある、いろいろな検査をしても、何年も原因不明でどんな治療をしてもよくならない。」

 

と訴えられて受診され、診察してみると、やはりドライアイの所見がありました。そこで、ヒアルロン酸の目薬などで治療したところ、劇的に改善したのです。何年も開け難かった瞼がぱっちりと開いて、表情も明るくなり、ご本人もこんな簡単なことだったのかと、驚いていらっしゃいました。

 

ドライアイは加齢によっても起こりますが、最近は若い方(小学生にも見られます!)にも多く、コンタクトレンズを装用している方はもちろん(ほぼ100%)ですが、そうでない方もドライアイの症状を訴えてこられる方が増えています。

 

食生活や住環境など現代の生活環境の悪化、生活様式の変化など、また精神的なストレスの影響もあるのではと思います。

 

というわけで、日ごろ気になっているドライアイについて今回は取り上げてみました。
まずは、あなたのドライアイ度のチェックからどうぞ!

 

 

【ドライアイの可能性を自己診断してみましょう】


ドライアイではなくとも、例えば眼鏡やコンタクトレンズの度が合っていないと眼が疲れやすく感じます。次のチェックリストでドライアイの可能性をチェックしてみましょう。

 

次の症状であてはまる項目にチェックをつけてください。
ただし年に1、2度程度の症状はあてはまりませんが、軽度でも長期間にわたって現れる症状にはチェックをつけてください。

 

1 眼が疲れやすい 7 眼が痛い
2 めやにが出る 8 涙が出る
3 眼がごろごろする 9 ものがかすんで見える
4 重たい感じがする 10 眼がかゆい
5 眼が乾いた感じがする 11 光を見るとまぶしい
6 何となく眼に不快感がある 12 眼が赤い

 

チェックが5つ以上ならドライアイの可能性があります。さらに10秒以上眼を開けていられない、まばたきの回数が多い(40回/1分以上)なら、その可能性がさらに高いといえるでしょう。下記の記事を読んでいただき、眼科の受診をお勧めします。

 

【ドライアイってどんな病気なのでしょう】


眼が乾くために、不快な症状が現れるドライアイ

 

ドライアイは、涙液の減少あるいは質的な変化により眼の表面に障害を生じる疾患です。涙が足りないと涙の役割が低下するので、眼は乾いて傷つきやすい状態となり、重症になると眼の表面に無数の傷がついている場合もあります。

 

ドライアイの主症状

 

 

強い症状や長びく症状は放っておかないほうがいい

 

軽い症状はやがておさまることもあります。しかし症状が強かったりいつまでも長びくようなら眼の表面が傷ついていることが考えられるため、眼科を受診したほうが良いでしょう。傷から細菌が入り込んで眼全体が感染したり、傷が深くなって視力が低下するおそれがあるからです。

 

【ドライアイの原因】 〜なぜドライアイになるのでしょう〜


ドライアイのメカニズム

 

ドライアイとは、涙が不足したり成分が変化して質が悪くなることによって、眼の表面に障害が生じる状態をいいます。涙はまばたきによって網目状の薄い膜となり(写真左)、いつも眼の表面を覆って乾燥あるいはゴミや細菌などから眼を守っていますが、ドライアイになると涙液が正常ではなくなるために眼の表面を十分に保護できなくなり、眼が乾くのです。(写真右)。
またマイボーム腺の機能が落ちると涙の表面の油膜が作れなくなり、蒸発しやすくなりドライアイの原因になります。詳しくはこちら

眼表面(角膜)

 

【涙の流れ】


涙はどこからきて、どこへいく?

 

上まぶたの外側あたりが『主涙腺』という涙の生産工場。ここから出てきた涙は、目の表面を一様に潤したあと約10%は蒸発し、残って古くなった涙は目の内側にある小さな穴『涙点』へ。そこから目と鼻をつなぐ『涙小管』から『鼻涙管』という涙の下水道を通り、『鼻腔』へ流れます。

 

涙の流れ

 

 

まばたきのポンプが涙を運ぶ

 

まばたきは、いわば涙のポンプ。まばたきをする度に、目の表面に一定量の涙が送り込まれます。乾きそうになると、また、パチリ。私たちは、1分間に約20〜30回程まばたきを繰り返して、目の表面をリフレッシユさせています。

 

かよわい目を守る涙のベール

 

涙は、目が正常な働きをするために欠かせないもの。キズつきやすく、かよわい目を外界のバイ菌や異物から守ります。また、角膜へ酸素や栄養分を届けるのも涙の役目。この他にも「ものを見る」という目の働きをさまざまな点から支えています。

 

 

【涙の膜構造】


涙の膜は不思議なサンドイッチ構造

 

涙の膜は、『油層』『水層』『ムチン層』の3つの層からなります。このうち98%が『水層』ですが、この『水層』をちようどサンドイッチのパンのように『油層』と『ムチン層』がはさんでいます。涙はわずか7ミクロンの薄い膜。このなかで『油層』はコツプに油を一滴たらしたときのように薄い膜を張って涙の蒸発を防ぐ役目を、また『ムチン層』は涙が流れ落ちないように目の表面に粘着する糊の役目を果たしています。

 

 

【ドライアイの治療】


まずは点眼による治療が基本です。点眼には潤いを与えキープするもの、自分の眼から涙を出やすくするもの、乾燥により眼の表面にできた凸凹を治すもの、炎症を抑えるものなど、いろいろな種類があります。これらを症状にあわせ単独、あるいは組み合わせて治療していきます。またもし点眼治療のみで改善が不十分な場合には、涙点プラグによる治療も検討します。眼から鼻に涙が出ていく出口の穴を塞いで涙を溜めてドライアイを改善します。涙点プラグには液体コラーゲンとシリコン製のものがあり、どちらも外来で短時間で処置できます。入れるときの痛みはありません。

 

液体コラーゲンプラグによる治療の実際

 

●液体コラーゲンプラグ注入は簡単で痛みもありません眼科では、涙にうるおいを与える点眼薬や、眼の障害を治す点眼薬が処方され、ほとんどの人はこの点眼薬で改善できます。症状によっては目のまわりの湿度を高く保つメガネをすすめられる場合もあります。また、簡単な処置(涙点プラグ)や手術で涙の流出を防ぐという方法もあります。

 

●液体のコラーゲンが体温で固まります
涙点は、まぶたの目頭近くに上下2つあります。細い管を用いて、液体のコラーゲンを注入するのがこの治療法です。注入後、液体のコラーゲンは体温によってしだいに固まります。

 

治療に使われるコラーゲンについて
液体コラーゲンプラグには、医療に幅広く使われているアテロコラーゲンという特殊なコラーゲンが用いられています。アテロコラーゲンは、酵素処理によって得られる、抗原性の低い、且つ安全性の高いコラーゲンです。

参照:液体コラーゲンプラグを用いた治療 http://www.keeptear.jp/dryeye04.html

 

★フォトフェイシャルによるドライアイの治療を始めました。詳しくはこちら

また以下のような生活上の注意も治療には欠かせません。

  • エアコンの風に直接当たらないように工夫する
  • 冬場は加湿器を使う
  • パソコンなど端末を見るときは、瞬きを意識する
  • コンタクトレンズは長時間使用しない(目安としては1日10時間以内。短いに越したことはありません)
  • 外出時はサングラスなどで眼を保護する
  • 十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動などによる体調管理も大切な要素です

 

【コンタクトレンズについて】


涙あってのコンタクトレンズ

 

朝起きると、まずコンタクトレンズを・・・。そんな毎日をおくっている人も多いはず。でもコンタクトレンズは黒目、つまり角膜の上に直接のっているわけではありません。角膜とコンタクトレンズの間では、涙が潤滑液となって目を保護しています。

 

コンタクトレンズと涙のあぶない関係

 

目の表面にはまばたきの度に新鮮な涙が運び込まれています。しかしコンタクトレンズで角膜にフタをした状態になると、まばたきによる涙の交換率はぐんと下がりハード装用時では約20%、ソフトではなんと2〜3%になります。コンタクトレンズを装用するとどれだけ目に負担がかかるかが想像できるでしよう。

 

目の乾きやすい人がコンタクトレンズを使うと・・・

  • 角膜表面のキズが広がる
  • 酸素や栄養分を運ぶ力が下がる
  • 細菌に対する抵抗力が下がる
  • 潤滑液としての働きが下がる

 

【Q&A】


Q 読書やコンピューター作業などをすると、まばたきが減り、目が乾くというのは本当でしようか。
A 本当です。
精神を集中させて小さな文字を追ったり、コンピユーター画面を見続けていると、まばたきの回数はなんと普段の約l/4に!仕事中などは、意識してまばたきの数を増やしたり、適度な休憩をとって目をリフレッシユさせましよう。
普段は1分間に約20〜30回。集中時は1分間に5回位に。

 

Q 目が乾きやすいのは、どんなときでしょうか。
A 「目が疲れた」と感じたとき、その原因の約60%が「目の乾き」にあるといわれています。次にあげる項目に心あたりのある人は要注意です!
●コンピューターやワープロ作業をしているとき
●運転や、細かい作業など精神集中が必要なとき
→ ◇まばたきが少なくなり、目が乾きます。
●乾燥した部屋にいるとき
●飛行機に乗っているとき
→ ◇涙が蒸発しやすいので、目が乾きます。
●睡眠不足のとき
●ストレスが高いとき
●ある種の降圧剤や精神安定剤を服用しているとき、また一部の緑内障治療点眼剤を使用しているとき
→ ◇涙の質や量が低下し、目が乾きます。

 

 

Q ドライアイと診断されたのですがコンタクトレンズを使い続けてはいけませんか。
A 基本的にはおすすめできませんが、症状が軽い場合は 十分注意をすれば使うことは可能です。日々のケアはもちろん、装用時間を短めにしたり、防腐剤の入っていない人工涙液をまめにさすことも大切。少しでも異常を感じたら、すぐに眼科医の診察を受けてください。

 

Q ドライアイの患者は、いま日本にどれくらいいるのですか。
A およそ800万人といわれています。ドライアイは、欧米で注目される疾患でしたが、 近年は日本でも関心が高まっています。コンピューター化されたオフィス環境や、エアーコンディショナーの普及による目の乾燥などがドライアイを増やす原因のひとつと考えられます。

 

【日常でのドライアイ対策】 〜日常生活での注意点〜


 

家庭では
編物や針仕事をするときは、意識してまばたきを。
暖房器具を使うときは加湿器もいっしょに!
ドライブでは
エアコンや外からの風が直接目に当たらないように注意を。
また、運転中は緊張が高まり、まばたきが減るので、つねに余裕をもって。
洗顔,洗髪のとき
洗剤が目に入らないように十分注意を。
職場では
コンピューター作業時はまばたきが激減するので適度に休憩を。
エアコンの風が直接あたらない位置に座るのも大切。
飛行機では
機内は湿度が低いので目薬を忘れずに。
また、コンタクトレンズの方はメガネに変えておく方が無難。
タバコの煙
タバコの煙も大敵。
まわりの人が吸っている場合は自分の目に当たらないよう注意を。

 

ドライアイとうまくつきあって、爽やかなビジユアルライフをおくりましょう

情報提供:参天製薬