紫外線のお話

紫外線はお肌に悪いだけではありません。目にとっても大敵です!

紫外線と言えば、美白ブームの折、お肌に悪いと言うことは誰もが認識していることと思います。
ところが、目にも悪いということはあまり知られていないようです。

 

欧米の方々は、もともと光に弱いのもあり、外出するときはほとんどの人がサングラスをかけています。欧米ではサングラスをかけていることが当然という雰囲気もありますし、彼らは鼻が高くかけやすいとか、似合うというのもサングラスが普及している所以でしょう。日本人は紫外線が目に悪いと思っていても、サングラスは偉そう、格好つけているというようなイメージが少なからずあり、また鼻が低くかけづらい、サングラスが似合わないなどの理由から紫外線の強い屋外でもあまりかけていないことが多いようです。またスポーツ時はプレーに影響するのを嫌がる方もいらっしゃるようです。

 

私自身もあまりサングラスをかけるほうではなかったのですが、UCLAに留学時代、LAの強い紫外線の影響を目の当たりにし、今では、ゴルフなど屋外で長時間過ごす時はもちろん、ちょっとした外出でも必ずかけるようにしています。

 

紫外線が原因のひとつである「翼状片(よくじょうへん)」(写真1)という白目の病気がありますが、屋外の労働が多い方やゴルフ、テニス、サーフィンなど屋外で長時間過ごすスポーツをされる方に多い病気です。通常年配の方に多い病気ですが、 UCLAの大学病院で診察していると、「翼状片」が20代くらいの若者に多いのに驚かされました。また、これも紫外線が原因のひとつと言われている「白内障」(写真2)や「加齢黄斑変性」(写真3)の患者様もたくさん見られました。

 

その患者様の数の多さに、LAの強い紫外線がどれだけ目に悪いかと言うことをだんだんと思い知らされ、それまで、私自身もあまりサングラスをかける方ではなかったのですが、外出時は意識的にサングラスをかけるようになりました。

 

いずれの疾患も紫外線を浴びたから直ぐになるというものではありません。また同じ量の紫外線を浴びても病気の発症率には個人差があります。今まで対策していなかったけど何もなってないから大丈夫、自分だけは大丈夫、と思わずに、できる限り早い段階から用心しておくに越したことはないと考えます。

 

また、日ごろコンタクトレンズはなるべく短い時間で使いましょう!とお伝えしていますが、長時間屋外ですごすときは、UVカット機能のあるコンタクトレンズを装用してサングラスをかけるとより効果的です。ただしドライアイになると紫外線の影響を受けやすくなりますので、コンタクトレンズによるドライアイには要注意です。サングラスを選ぶときは、薄めの色で、上方や横からの紫外線がなるべく入らないような、レンズの大きいもの、目を覆うようなピッタリガードタイプのものを選びましょう。(下記参照)。

 

それから、女性にとっては恐ろしい話ですが、目から入る紫外線が、お肌のシミ・ソバカスの原因になるとも言われます。(下記ひとくちメモ【2】参照)

 

ゴルフやテニスなど、屋外で長時間過ごすようなスポーツをする方はもちろん、ちょっとした外出でも、面倒がらずに、コンタクト、サングラスや帽子、傘などで、目を紫外線からプロテクトしましょう。また、物理的に紫外線を避けることに加えサプリメント*による目のアンチエイジングも紫外線などによる眼病の予防に効果的です。

 

地球環境の変化により、日本の紫外線量も年々増加傾向にあると言われます。発生学的には眼は脳の一部です。それをむき出しにしていると思うと怖いですよね。ちょっとぐらい大丈夫と思わずに積極的に紫外線対策をされることをお勧めします。

 

お肌も、目も、日ごろからのこまめなケアが大切です。

 

写真1:「翼状片(よくじょうへん)」

白目の病気である「翼状片」は白目が紫外線により繰り返し傷ついた結果、白目の下の細胞が異常増殖して黒目にまで入り込んでくるものです。充血や異物感といった初期症状から始まり、ドライアイや眼精疲労といった症状も起こします。さらに、白目の浸食が瞳孔までおよぶと、視力障害を引き起こします。手術により切除すれば治りますが、悪化してからですと手術しても視力障害が残ることもあり、また、再発しやすい病気でもあります。

 

 

写真2:「白内障」

眼球の水晶体が濁ってしまう白内障は、進行すると視力が低下し、薬では治すことができないので手術が必要になります。一般に老化が原因と言われるこの病気ですが、紫外線量の多い地域において白内障患者が多いことも分かっており、紫外線を多く浴びると、白内障の発症リスクが高まると言われています。

 

 

 

写真3:「加齢黄斑変性」

今まで欧米人に多いとされた「加齢黄斑変性」も、最近は日本人の患者が増えています。これは、眼の黄斑部(眼底の中心部で物を見るときに一番大事な部分)が傷む病気です。70歳以上の男性に多く、老化、喫煙などが原因ですが、紫外線も原因の1つと言われています。この症状が進行すると、見ようとするところが見えなくなり(中心視力の低下)、治療しても完治は困難です。喫煙する男性で屋外にいる時間が長い方は特に注意が必要です。

 

 

※サプリメントは http://www.bausch.co.jp/ocuvite/ を参照されてください。
当院でもサプリメントを取り扱っております。お気軽にお問い合わせください。

 

【目にも影響を与える紫外線】


私たちは1年中いつも紫外線を浴びつづけています。

気象庁

1日のなかでは、日中(10〜14時)の時間帯の紫外線量が強いことはよく知られていますが、季節によっては太陽光度の低い朝・夕の時間帯に、目に入る紫外線の強度が日中の約2倍になることが確認されました。

写真提供:金沢医科大学感覚機能病態学(眼科学)教授 佐々木 洋

【あなたの大切な目と紫外線】


サングラス+UVカット・コンタクトレンズ

  • UVカット加工のサングラスは、正面からの紫外線には有効ですが、側面から入りこむ紫外線は防ぎきれません。しかも、サングラスと肌とのすき間から入った紫外線は角膜周辺で屈折。耳側から入った紫外線が目の鼻側に集中することで、正面からの紫外線よりも大きなダメージを瞳に与えてしまいます(コロネオ現象)。
  • サングラスを選ぶときは、上方や横からの紫外線を考慮して、レンズの大きいもの、目を覆うようなピッタリガードタイプのものを選びましょう。さらに、UVカット機能のあるコンタクトレンズの上にサングラスをすることで、より効果的に紫外線を防ぐことができます。
  • サングラスの色の濃さに比例して瞳孔が開くため、より多くの紫外線が目に侵入することがあります。濃い色を選ぶときは、サイドや隙間から紫外線が入ってこないような顔にピッタリフィットするタイプを選びましょう。

 

紫外線ひとくちメモ【1】
【Coroneo(コロネオ)現象】
目の側面=耳側から目に入りこんだ紫外線が、角膜周辺部で屈折した後、目の鼻側に集中する現象のこと。結果的に、正面からの紫外線よりも強いダメージを与えます。
この現象の解明に携わったオーストラリアのCoroneo教授の名前から、『Coroneo現象』と呼ばれています。

Coroneo MT. Albedo concentration in the anterior eye:
a phenomenon that locates some solar disease. Ophthalmic Surgery 21(1),1990

 

紫外線ひとくちメモ【2】
【目から入る紫外線が、お肌のシミ・ソバカスの原因に】

当院でも99%以上UVカット、お顔をピッタリガードするような、眼科医推奨のサングラスを扱っております。ご希望の方はお知らせください。

 

参考資料【目の紫外線対策の新事実が明らかに】


目の紫外線対策について書かれた新聞記事をPDFでご覧頂けます。
左のアイコンをクリックしてPDFを開き、ご覧下さい。
(PDF / 416KB – hashida0708.pdf)

 

資料提供:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社ビジョンケア カンパニー