ーコンタクトレンズを使用している方へー 装用時間はできる限り短くしましょう!!
日ごろの診療をしていると、コンタクトの長時間装用をしている患者様の多さに驚かされます。
1日12時間装用などは短いほうで、15時間以上、起きている間ずっと、しかも毎日、装用している患者様がたくさん見られます。
なかには、1日タイプの使い捨てレンズを2週間使い捨てにしていたり、(1年以上入れっぱなしの方もいらっしゃいます!!)、とにかく、使い捨てレンズなどの乱暴な使い方が目につきます。
このような患者様がお一人でも減るように、当クリニックでは、
「コンタクトの装用時間はできるだけ短くしてください。家に帰ったら直ぐはずす、お休みの日は着けない、週にせめて1,2日は着けない日を作るように。」
などと指導させていただいています。(メガネをもっていない方が多いのにも驚かされます。)
では、なぜ長時間装用がいけないのか。
長時間装用をしていると、乾き目、黒目(角膜)の表面の傷、アレルギー性結膜炎、細菌性などさまざまな結膜炎、白目のたこ(瞼裂斑炎)、眼瞼下垂など、さまざまなトラブルが起こりえます。
ただ、これらのトラブルは本人に痛みや目やになどの自覚症状があるため、気がつきやすいトラブルと言えます。
そして、これらのトラブルはコンタクトを中止して適切な治療をすれば、治る可能性が高い病気です。 (もちろん一概には言えませんが。)
ところが、やはり、コンタクトの長期装用によって起こりえる、角膜内皮細胞の減少についてはよほど進行するまでは自覚症状のない恐いものです。
ですので、「よく見えるし、べつに何の症状もないんだから、何時間つけても、着けたまま寝ても平気じゃないの?」
と思われている方でも、もう角膜内皮細胞の数は極限まで減ってしまっているかもしれません。
これは皆様が思っていらっしゃるより、ものすごく恐〜〜い事です。
【健康な内皮】 | 【不健康な内皮】 |
内皮細胞の大きさが同一 | 内皮細胞の大きさが不同 細胞密度の減少 |
では、角膜内皮細胞って何?かというと、黒目の一番内側にある細胞で、黒目の呼吸や代謝を担っており、黒目の透明性を維持するのにとても大事な細胞です。
そして一度減ると再生しない細胞です。つまり、コンタクトをやめても元の状態には戻りません。
そしてある一定の数より減ってしまうと、透明性が維持できなくなり、浮腫んできて濁りも出てきて、痛みもでます。
治療は最終的には角膜移植などの方法しかありません。(それでも元通りの状態には戻りません。)
当クリニックでは、コンタクトレンズ歴の長い方、長時間装用をしている方など、使用状況を確認して必要と判断した場合はこの内皮細胞の数を測定しております。測定の結果、この細胞の数が減っている患者様の多いこと!!
毎日スタッフ共々驚いております。
通常1ミリ平方あたり、2500から3000個は欲しいところなのですが、2000個をきっている患者さまがたくさんいらっしゃいます。
この細胞は加齢によっても減るのですが、60歳以上(80歳以上!?)の方よりも少ない人がたくさん居ます。
この細胞の数があまり減ってしまうと、将来白内障などの目の手術ができなくなります。
今のご老人は、コンタクトをしていた方が少ないので、この内皮細胞の数が驚くほど減っている人はまれにしか見られません。
しかし、このまま行くと、内皮細胞が少ないために、手術が受けられない患者様が増えて、代わりに角膜移植手術が増えるのでは??と勝手に危惧している日々です。
どうぞ、コンタクト装用をしている患者様たち、このような恐い状況になる前に、なるべく必要のないときはメガネでお過ごし下さい。
週に1,2日はメガネの日を!
レンズを入れたまま寝る、使い捨てレンズを着けっぱなしで何日(何年!?)もすごすなどは、最悪です。
目に見えない世界のお話ですので、実感がわきにくいと思いますが、今日から少しでも気にして下さい。
この記事が少しでもコンタクト装用をしている皆様の将来の目の健康に役立てたら幸いです。